プロとアマチュアの違いについて考察 - ドライバー飛距離が230ヤードで 6,000ヤードが現実的に楽にプレーできる長さ (80%相似則)



プロとアマチュアの違いについて考えてみました。

プロやエリート•アマチュアのように飛距離を出して楽に(?)プレーしたい。あわよくばアンダー•パーを叩き出したい。一回くらい白ティーからでいいので 70 切りたい。実際のところは、レベルが高くなればなるほど、一打の重みが増すため楽にプレーできなくなるのではと思うのだが、それでも飛距離がでれば短いクラブで打てるし、Par-5 が Par-4 になったりして楽なんじゃないかなぁ?と想像しています。

今回はそもそも プロ、エリート•プレーヤーがどうやってバーディーを量産するかを考えつつ、自分の場合はどれくらい飛ばすといいのか、今の技量ではどれくらいの長さのティーからプレーするのが妥当なのかを考察してみます。

仮説


プロやトップ•アマチュアがパーやバーディーを出しやすいのには、次のような理由が考えられます。至極当たり前ではありますが、私の仮説です。

(1) パットのラインを読むのに長けている: ストローク自体、つまりボールを転がすのが上手のなのは勿論だけども、アマチュアとの決定的な違いは、ラインを読むことだと最近思い始めた。ラインは、スピードと曲がり具合の 2 つのポイントを考慮する必要がある。この 2 つの絶妙なバランスを読み取る必要がある。

(2) アプローチの正確さ: Par-4 の 2 打目、Par-5 の 2, 3 打目をアプローチ(グリーン周りの短い「アプローチ」とは異なる) が、ピンに近い。Proximity と呼ばれるが、この数値が短い。なぜ短いかというと、理由が 2 つあり、(i) スィングが正確、(ii) ウェッジやショートアイアンなど比較的易しいクラブを使える。PGAの試合をみていて、Par-4 の 2 打目にロングアイアンやハイブリッドを使っているのは皆無。短いクラブで、正確なスィングで打たれたボールは確かにピンに寄りやすいと思う。長いクラブを使っているのを見るのは、寒い日の 240 ヤードを越えるような Par-3 や Par-5 の 2 打目でグリーンを狙うときに見るくらいだ。

(3) ティーショットが飛ぶ: (2)-(ii) の根本的理由で、ティーショットが飛ぶのでアプローチの残り距離が短いクラブで狙える

(1) ~ (3) まで耐えざる鍛錬と運動能力のトレーニングが必要なので、明日からすぐに常に 80 を切って、あわよくば 70 を切るようなラウンドをするのは無理だ。だけども、そもそも Par-4 の 2 打目をショートアイアン以下で打つにはどうすればよいのかを考えてみたい。

レディースティーからプレーしたら、可能ではないのだろうか?

言い換えると、どれくらいの長さのコースまたはティーからプレーするのが、力量相応なのかを考察してみる。つまり、Par-4 の残りをショートアイアンやウェッジばかりで打てるようにするという意味だ。

考察


まずは、考察の基準となるプロのデータを選びます。

先日の US Open のデータを使いたいと思います。US Open は優勝者が Even Par になることが多く、大部分のプロが 70 を切れず、75 を超えたり、80 を叩いたりすることもある一般アマチュアからは想像がつかないほど難関のイベントです。世界のトッププロが 80 近く叩くのをみるのも楽しみの一つの大会と思います。2008 年大会のときに Tiger Woods の発言では、「ハンディキャップ 10 のプレーヤーでは (US Open 仕様の 7,800 ヤードを超える Torrey Pines で) 100 を切れないだろう」というくらい難しいトーナメントです。

US Open での悪いラウンドの内容をみると、GIR = 8 (パーオンの回数が 18 ホール中 8 回) とかでも 70 前半で上がってきたりします。プロ本人たちに取っては不本意な結果ですが、コースの難易度は違えども、一般アマチュアにとってはとても参考目標になる統計がつまっています。

先日の US Open 2020 は、NY州にある Winged Foot Country Club で行われ 7429 ヤード (Par-70) という長大な舞台でした。世界屈指のプロ達がどう感じたかは推して測るべしですが、チャンピオンの DeChambeau 選手以外は、72 ホール終了してアンダーパーが誰もおらず、特に最終日は彼以外 70 を切れていない(結構 70 後半が目立った気がする) ことを考えると、相当難しいコースセッティングだったのではと思います。2006 年時の大会でも、Phil Michelson を始め優勝争いの数人が最終の数ホールで崩れていたのを覚えています。

難しさの要因は、長さも然り、ラフ、ピン位置、グリーンの速さのような気がしますが、とにかくアマチュアの視点からして 7400 ヤードというコースをプレーして、Par-4 だと
  • ドライバー or 3-wood
  •  7~9 番アイアンでチョン
と 450 ~ 500 ヤード近くある Par-4 でも 2 打で乗せるだけでなく、ピンを狙えるというのがまさに異次元すぎる。

僕が普段プレーするコースで、Par-4 の 2 打目をフェアウェーから打つときは、ハイブリッドからウェッジまで様々で、2H (19), 3H (23), 5H (27), 6I (30) あたりを使うことが多い。7~9I を持てるのは相当ドライバーが飛んで、ホールの長さが 380 ヤード以下くらいの場合がせいぜい。420 ヤードくらいの Par-4 でもグリーンにたまたま乗ることはありますが、ドライバー + 5H (27度) の組み合わせがせいぜい。自分の飛距離からして、どれくらいのホール全長のティーからプレーすると、大体の Par-4 でショートアイアンのアプローチができるのか計算してみます。

Par-4 でのティーショットの平均飛距離


まず、2020 年の平均ドライバー飛距離を Par-4、ドライバーを使った場合で計算してみました。毎ショットを TrackMan で測るのは無理なので、[ホール全長] - [アプローチの残り距離] を飛距離として推定しています。Par-5 は、残り距離のデータがないので省いています。下のグラフが 2013 年からの推移です。




2020 年の平均は 228 ヤードになりました。この 228 ヤードには、木に打ち込んだときなど全ての状況を考慮しています。四捨五入して 230 とします。

余談ながら、体感では去年よりはかなり伸びた感触があります。ドライバー + ハイブリッドだったホールが、ドライバー + 6~8 アイアンになったり、相当飛んだ時は、残りがウェッジになることもあり、これまでグリーンに近づける感覚だったのが、グリーンに乗せるのが狙いやすくなりました。実際、GIR は平均 2 /ラウンド近く増えています。が、ボールが飛びすぎたりして痛いトラブルになることも少なくなくてスコアがまとまらず、平均スコアはわずかに減少しただけですが、新しい距離感に慣れてくるとそのうちよくなるかと。。。

グラフ右軸の TSIP は、”Tee Shot In Play” を略した僕の個人的な統計値です。単純なフェアウェーキープとは違い、次打が撃ちやすい地点にティーショットを置けたかどうかが判断基準です。なので感覚にもかなり左右されます。

基本的に、ラフでもフェアウェーでもよく、障害物がなく、2 番ハイブリッド以下で十分グリーン中央に向かって 打っていける状況であれば 1 (True) となります。逆にフェアウェーでも、Par-4 で残りが 280 ヤードだと、当然グリーンは狙えないので NG です。

Par-3 の場合はグリーンにのるか、カラーからストレスフリーで転がせる場合は TSIP 1 (True) です。1 ラウンドで 18 TSIP になるのが理想。

松山選手の US Open 2020, 4 日目のデータ


それで、US Open のサイト (https://www.usopen.com/scoring.html) をみると Shotlink Data による各選手のショットが詳細に可視化されています。松山英樹選手は最終日いいポジションからスタートしましたが、78 はおそらくかなり不本意な結果だったのではないでしょうか。アマチュアにとっては、相当いいスコアなので参考にさせていただきます。



この表は、松山選手の各ホールの 1, 2, 3 打目の飛距離を表にしました。
  • Shot 1: ティーショットの飛距離 (Par-4, Par-5)。Par-3 はティーからピンまでの距離。
  • Shot 2: グリーンまでの残りの距離 (Par-4)。Par-5 では実際に打った距離。
  • Shot 3: ピンまでの残り距離 (Par-5 のみ)
  • グリーンを外した場合のチップショットなどの距離は含んでいません。
これを元に、Par-4 の飛距離を、左右にぶれて木に当たるなどしてちゃんと飛ばなかった場合も含めて平均すると 288 ヤードでした。11 番や 15 番ホールは、ドライバー未満のクラブだった気がしますが、簡単のため Par-4 全部の数字を含めています。

このティーショットの飛距離を、私の 2020 年のデータと比較すると、比率として228 ÷ 288 = 79.16 % となります。

つまり飛距離差の比が約 80% です。

自分の立場からみると、松山選手の場合 25% 増しで飛ぶという考え方ができます。例えば、7 番アイアンで 150 ヤード打つとしたら、松山選手(や Fedex Cup 上位常連の平均的なスーパートッププロで) 150 * 1.25 = 187.5 ヤード打てることになります。ありえんし。


飛距離 80% に相似変換


非常にシンプルな推定計算(モデル)ですが、自分の場合はプロの 80% の距離感覚でプレーをしていると思うのが一つの考え方と言えます。

つまり、80% 相似変換がどんな感覚になるかを具体的に例えるとこうなります:
  • プロにとっての 500 ヤードの Par-4 は、私にとっては 400 ヤードのホールをプレーしている。
  • プロの 320 ヤードのドライブは、256 ヤードのドライブに相当する。1 ラウンドに 1 回出たらいい方です。
  • 150 ヤードを 9 番アイアンで打つのは、120 ヤードを 9 番アイアンで打つのに相当する。これなら平均的にできそう。
  • 私が 550 ヤードの Par-5 をプレーするのは、プロにとっては 688 ヤードの Par-5 に相当する。さすがにこれだと、3ショット Par-5 になって 2 オンするのがかなりレアになるのではないか?
  • いわゆるワンオン可能な drivable Par-4 は、240-260 ヤードくらいの Par-4 に相当する。250 ヤード前後だと、もしかしてのるかもしれないし、グリーン周辺のバンカーなどに入れることも可能そうなイメージが湧きます。

第 1 ホールをクローズアップ


実際の松山選手の第 1 ホールの結果です:

(https://www.usopen.com/scoring.html より)

  • 第 1 ホールは 452 ヤードの Par-4。
  • ドライブが 285 ヤード。
  • 2 打目が残り 163 ヤードのラフ。
  • この日や強風かつ低温で、右から左の風。ホールも右から左のドッグレッグで、最難関のホール。
松山選手が 2 打目を何で打たれたのかわかりませんが、仮にフェアウェーから、高低差がなく、無風の状況だと 8, 9 番アイアンでしょうか? 軽いラフだと PW, 9 番くらいでフライヤーを警戒しながら打つ距離でしょう。このときは US Open ラフが深くクラブのコンタクトが悪かったか、ウェッジで出しただけになったのではと思います。

これを先ほどの 80% で変換すると、
  • ホール全長は 361 ヤード
  • ティーショットの飛距離は 228 ヤード
  • 2 打目は残り 130 ヤード
となります。

これだとかなり現実的に達成できそうな長さです。2 打目は状況次第ですが、確かに 8, 9 番アイアンで打てます。

そうすると、プロだと余計にスィングの精度が高く、ショートアイアンで打てばピンに近くなる確率もあがるはずなので、バーディーのチャンスが必然と増えるはずです。


80% 相似変換を Winged Foot に適用

この相似変換に従って各ホールを 80% 縮めていくと、先にご紹介した松山選手の距離が次のように変換できました。言い換えると Par-4 のドライバーの平均飛距離が 230 ヤードになるように縮小しています。ティーショットをちゃんと打てたホールはショートアイアンやウェッジのアプローチばかりが残ります。Par-5 も 2 打で乗りそうな感じがする。



2 打目を短いアイアンでビシバシ打っていくには、コース全長が 6,000 ヤードが目安になる (7429 x 80% = 5935 ヤード)。Par-70 なので、これに Par-5 が 2 つ加わったとして Par-72 でも 6200 ヤードくらいか。

ティーショットを大きく失敗しているホール (#5) を除けば、高低差や風を考慮しない場合、7 番アイアン以下で打てるんではないかという気がします。Par-5 は、444 (#9) と 461 (#12) ヤードで、これだと僕でも良いボールが 2 回打てばグリーンまで運べそう。それでも Par-3 はハイブリッド必須です。

6500 ヤードをプレーするには、250 ヤード飛ばす必要あり

  • ドライバーの飛距離が 230 ヤード = コース全長が 5935 ヤード
  • ドライバーの飛距離が 288 ヤード = コース全長が 7429 ヤード
という関係を作れましたので、ドライバーで 10 ヤード飛距離を伸ばすと、OOO ヤード長いホールをプレーできる、という関係を作れます。

つまり線形モデルにしてみると、その傾きが、(7429 - 5935) / (288 - 230) = 25.8 ヤード/ヤードとなるので、1 ヤード飛距離が伸びると 25.8 ヤード長いコースをプレーできる。コース場での暗算を簡単にするため、ドライバーで 10 ヤード飛距離を伸ばせると、250 ヤード長いコースがプレーできると考えられる。

6500 ヤードを気持ちよくプレーしようと思ったら、230 + (6500 - 6000) ÷ 25 = 250 ヤードの平均飛距離が必要になります。

平均 260 ヤード飛ばせれば 6750 ヤードがプレーでき、一般的なコースの黒ティーからも可能になる。7000 ヤードでもなんとかプレーできるかもという範囲か?

ショートアイアンでプレーするのがよいわけではないのですが、ゴルフはいいスコアが出ると楽しいし、普段から長すぎるティーからプレーしているかもしれないのではと思い始めました。

LPGA の場合

LPGA のコース全長の平均は、6200 - 6600 ヤードとされています。中間は 6400 ヤード。
https://www.lpga.com/contact-us/faq#:~:text=The%20LPGA%20Tour%20sets%20up,12.

ドライバーの飛距離の平均値は、150 人いるうちの 75 位が 253.54 ヤード
https://www.lpga.com/statistics/driving/average-driving-distance

  • 230 ヤードの飛距離で 6000 ヤードが妥当
  • 10 ヤードの飛距離が伸びると 250 ヤード長くプレーできる
という数式モデルによく当てはまっています。

LPGA くらいの飛距離が出せるといいなぁと思いました。

結論として


私は普段からけっこう距離が長いティーでプレーしていた。
  • 230 ヤードの飛距離だと 6000 ヤード程度の白ティーくらいがちょうどよい。
  • 飛距離が 10 ヤード伸びると、250 ヤード長いコースをプレーできる。
プロがアンダーパーを量産 (US Open 除く) できるのはこんな理由:
  • 飛距離が出る。
  • ホール全長に対して、ティーショットが飛ぶ。
  • アプローチをショートアイアンやウェッジで打て、尚且つ正確度が高い
  • Par-5 が、実質 Par-4 になる。
  • ホールから近いこともあり、パットが入る確率が高い。
  • ラインを読む技術に長けている。
パッティングに関しては、特別に裏付けられるデータを交えて考察できていませんが、おそらくラインを読む技術の高さがアマチュアとは比較にならないのではないかと考えています。あとチッピングなどのショートゲームも相当上手なのもあるでしょう。

コースのレイアウトや標高にもよりますが 6,000 ヤード前半からプレーしてスコアメイクをする感覚を養うのが大事かなと思います。そうすると新しい課題も発見できるかもしれません。

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