プロゴルフは飛ばし屋の勝ち? - PGAプレーヤーの成績の分析(2)

前回 (プロゴルフは飛ばし屋の勝ち? - PGAプレーヤーの成績の分析(1)) で、平均スコアとフェアウェーキープ率は相反する関係があるのを発見しました。今回は、どうしてそうなるのか?、を追求することにします。


次の図は、前回のレビュー:
  • トップ20位のプレーヤーのフェアウェーキープ率は60%前後と低め。14回中、6回はフェアウェーを外す計算。アマチュア並に外す。
  • トップ20位の平均スコアは、ティーショットの正確性の高いプレーヤーよりも2ストローク程少なく、獲得賞金は倍以上の差があり。1ラウンドで2ストロークの差がつくと、4日間のトーナメントでは、8ストロークの差がつく。
From アメリカ・シリコンバレー的ゴルフ研究所 - シャンク矯正課





一体全体、なんでそんなに差がつくのでしょう?ゴルフ場ではよく、ドライバーショットがフェアウェーを捉えれば拍手喝采、外せばノーコメント(距離がでていて、アプローチが絶好のアングルでも!) 。。。。、てな状況をよくみてきました。



フェアウェーキープ率 (driving accuracy) についての結論から言うと、スコアメイクには関係があまりないでしょう。逆にいえば、血眼になってフェアウェーを捉えるようにドライバーを真っすぐ打つ練習は不要ですし、フェアウェーを打たなくてもスコアメイクはできるのではないでしょうか。ボールが「イン・プレー」になっている限り。




18ホールのスコアは、飛距離、パット数、アプローチ、パーオンの回数、などの様々な要因で成り立つ関数です。その中で、最もスコアと密接に関連するのが、パーオンの回数 (Greens In Regulations, GIRs) です。



次の図には、(ごちゃごちゃしていて恐縮ですが)
  • 左下: 「パーオン率」と「フェアウェーキープ率」
  • 右下: 「平均飛距離」と「フェアウェーキープ率」
のデータを整理しています。
From アメリカ・シリコンバレー的ゴルフ研究所 - シャンク矯正課





個人的に予想していた答えとしては、こんな感じでした。
  1. フェアウェーキープ率が高いプレーヤーは、飛距離がでない
  2. アプローチに長い距離が残り、グリーンを捉える回数が減る (GIRsが少ない)
  3. バーディーチャンスが減り、ボギーの回数が増える

上の図の右下のとおり、飛距離についての予想は的中。20 ~ 30ヤードは飛距離差があります。




しかし、、、、GIRsについては、「距離がでないプレーヤーの方が多くグリーンを捉える」という結果がでました。ティーショットを正確に打てるから、長いアプローチでも正確に打てるということなのかも。実際問題、2つのグループの差は2%なので、単純にはスコアの差につながりそうな差でもありませんが。というわけで、GIRsに関して差はほとんどありません




グラフには作っていませんが、「パーセーブ率 (scramble)」のカテゴリーで比較すると、トップ20位のグループがわずかながらセーブ率が高いようです。大体差にして2, 3%くらいです。けど、これも差はないというか、単なる個人差の範囲といえそうです。グリーンを外しても、寄せる技術は同じくらい、というわけだそうな。




ここまでの途中経過をまとめると、両者はグリーンに辿りつくまでは大差なさそう





となると、次に注目するのはグリーン上の成績です。次の図に
  1. 上: バーディー率 (birdie conversion)
  2. 下: 平均パット数 (putts per round)
をまとめました。


From アメリカ・シリコンバレー的ゴルフ研究所 - シャンク矯正課



ようやく差がついたようです。平均スコアトップ20位の「飛ばし屋組」が明らかに、バーディチャンスをものにする傾向があり、故にパット数も少なくなる傾向があります。



推測では、
  1. ティーショットが飛ぶため、必然的にアプローチの距離が短くなる
  2. 短いクラブで、よりピンの傍にアプローチを寄せられる
  3. makable なバーディーチャンスが増える
という論理かなと。「パーオンしたときの、ファーストパットの距離」のデータはありませんので、あくまで推測の範囲でしかないですが、「Putt is money.」と言われるように、プロの試合はグリーン上でしか差がつきにくくなっている実情があるのでしょう。US Openなどの試合では、スルー・ザ・グリーンでも差が出ると思われますが。


データでみてきたように、「フェアウェーキープ率の高いプレーヤーは、距離がでない為にピンに絡むチャンスが(相対的に)少なくなり、平均スコアが高くなる」というのが結論です。



または、両者のピンに絡むチャンスはほぼ同じで、パットの巧さがスコアの差になっているとも推察されます。




乱暴な言い方をすれば、フェアウェーキープはスコアメイクに直結しづらいようです。(あまり関係がなさそう。) 次打が易しく打てる地点にありさえすれば、ラフ/フェアウェーのどちらでも問題ないでしょう。注意点として、木の裏、ライの悪いフェアウェーなどに打ち込むのはNG。


フェアウェーを捉えることを目的に練習するくらいなら、飛距離重視でかっ飛ばす練習の方がよいでしょう。その方が、グリーンに近くなり、アプローチがピンに近くなる確率が増します。




というわけで、今年のティーショットは林に打ち込まない程度の正確性度外視の飛距離重視でプレーしてみようと思います。アプローチは正確に。



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この調査をする前までは、PGAツアーでも正確性だけで勝てるようにできているのかな?、と思っていましたけど、どうやら数字から判断する限り、同時に飛ばないと常勝は難しいと言わざるをえなくなりました。データ収集はしておらず数字を眺めただけですが、単純に飛ばすだけでも賞金ランキングの上位に上がるのは無理。


1年に数回は、USGA指定・提供のパーシモンウッド+マッスルバックアイアン+糸巻きボールの使用に限定した試合を行ってみるとプロフェッショナル達の真の実力差がでるような気がするのですが。。。?それこそ、Tiger Woodsが全勝して終わるでしょうけど。

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