実はこの"The Impact Zone"を最初に見たときは、「なんてくだらない解説書だ」と思いました。当研究所の方針としては、ゴルフの技術論を文字で表現したり、理解しようとしたりすることをできるだけ避けます。なるべくイラストや写真を眺めて、それらの真に意味することを読み取ろうとします。ですので、この本のように白黒の写真+文字ばかりの解説書は評価が低い。しかしながら、この本は例外となりそうです。おすすめの良書です!
まず最初の絵です。
(出典: http://www.golfdigest.com/equipment/2007/10/newlooks_bombgouge)
青い軌道が私のスィングとすれば、黒い軌道がプロフェッショナルのものです。
次も同じ意味ですが、スィングアークの最下点とハンディキャップの関係です。ツアー・プロのアークの最下点はボールの遥か先に位置します。それゆえに綺麗にターフがとれ、飛距離がアマチュアとは比較にならないほど出ます。
(出典: http://www.golfdigest.com/instruction/2007/11/breakingclampett)
まず、最初の章で筆者は興味深い実験結果を紹介しています。それは、ハンディキャップとスィングアークの最下点の距離の関係です。
この図は本の10ページの表を参照したもので、横軸にハンディキャップを、縦軸にスィングの最下点をインチ (1インチ = 2.54 cm) でとってあります。結果が示すとおり、ハンディキャップと最下点の位置の間には、恐ろしく高い相関関係があり、線形フィッティングしたスロープは-0.28 [インチ/ハンディキャップ] です。 言い換えると
スィングの最下点が1インチターゲットの方向に進むと、ハンディキャップが3.57縮む
ということです。
たかだか最下点、かもしれません。が、それはフルショットだけではなく、その根底となるパットやチッピングから関係してきます。著者は、フルショットを正しく打つ(つまりフルショットで、スィングアークの最下点がボールの4インチ前にくるように打つ) には、4つのDynamicsが必要だと主張しています。
- The Flat Left Wrist at Impact (インパクトで左手首は一直線)
- The Forward Swing Bottom (スィングの最下点はボールの前)
- Loading (手首のコッキング)
- Lag and the Body Pivot (ラグとボディーターン)
- パター
- チッピング
- ピッチング
- フルスィング
この事実に驚愕しましたので、基本に戻って、グリップ、セットアップ、アライメントを見直し、パターで左手首がちゃんとフラットになっているかどうかからやり直しです。実際、チッピングですらダフることが少なくありません。また、バンカーで実験したところ、アイアン等のフルスィングでのスィングの最下点はめちゃくちゃボールの後ろに位置しています。だから、ボールは飛ばず、ダフり、曲がることが多いわけです。
「急がば回れ」といわれるように、時間はかかりますが、まずは正しいパットとチップができるようになりたいものです。
この"The Impact Zone"は以下の書籍とともに非常にお奨めかと。。
主読本の候補。
- Bobby Clampett, "The Impact Zone"
- Tom Watson, "Getting Up and Down"
- ショートゲームのバイブル。パット、チップ、ピッチを詳細に解説。
- Ben Hogan, "Five Lessons"
- 賛否両論ありますが、フルスィングを体系的にまとめた良書。グリップについての解説もすばらしいです。
副読本。
- Ernie Els, "How to build classic golf swing"
- 主読本に加えるなら、Elsのこの本かも。
- Jack Nicklaus, "Golf My Way"
- 良書。好きです。
- Tiger Woods, "How I Play Golf"
- 写真が多くよい構造化がされています。が、あくまでもWoodsがどうやってプレーするか、という内容かと。。
他には、中部銀次郎氏の著書は外せません。こちらはどちらかというと、考え方、メンタルを学習するものといえるかもしれません。
- ゴルファーのスピリット
- ゴルフのスコアがよい/わるい、というのが他愛無いことだと吹っ切れられます。スコアうんちくの以前の問題として、よいエチケットとマナーおよび感謝の気持ちが大事ですね。
- 中部銀次郎
- Harvey Penick's Little Red/Green Book
- Dr. Joe Parent, "Zen Golf (禅ゴルフ)"
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