長いPar-3 (ショートホール) をプレーしているとき、グリーンのかなり手前にポツンと配置された「謎のバンカー」に遭遇したことはありませんか?
通常、バンカーはグリーン周りをガードするように配置されるものですが、よっぽど酷いボールを打たなければ入らないような場所にポツンとあるバンカー。
一見、無駄な配置に見えて、実はそこには深い意味が隠されています。
Del Monte Golf Course 14 番 Par-3
地元 Pebble Beach Resort にある、Del Monte の 14 番ホール。白ティーから 210 ヤード。青ティーだと 220 ヤードを超えることもある長大なホール。高低差もなく、とくに実質距離が短くなる要素はない。
ここは市民ゴルファーにとって、たかだか200ヤードをきっちり飛ばすことがいかに難しいか、を突きつけられるホールです。真の上級者が 4 番や5番で乗せることもありますが、大抵はショートします。
そしてその手前30~40ヤード地点には、不思議なバンカーが待ち構えている。
謎のバンカーに隠された3つの意図
このバンカーは、単なるハザード以上の役割を担っている。大きく分けて以下の3つの目的があると考えています。
① 安易なレイアップへの挑戦状
「Par-3で刻む/ レイアップする」のは、特に現代では珍しく感じるかもしれません。このコースが誕生した19世紀、ボールが飛ばなかった時代には、200ヤード超は至難の業だったはず。 当時の定石は「1打で無理に乗せず、2打で乗せてパーを拾う」こと。設計者は、ただ無難に刻むことを許さず、戦略のないショットにペナルティや挑戦を課すために、あの位置にバンカーを置いたのではないか?
まぁ、現代でもなかなか 1 打で乗りません。私は 3-wood か 2-hybrid で乗せるのがせいぜい。確率は 4 / 24 回。
② スイングミスの受け皿
ロングホールでのティーショットは、ウッドやロングアイアンを使わざるを得ません。スライスや引っ掛けといったミスが出やすい状況で、中途半端に打ち損じたボールを捉える役割です。設計者は「ミスショットに対して、簡単に2打目を打たせないという厳しさを演出しているかと。
③ 視覚的な錯覚(optical illusion)
このバンカーはティーグラウンドからのターゲットになる一方で、実際の距離感を狂わせる効果もあるかと思う。 スコアカードに210ヤードとあっても、手前に大きなバンカーがあることで、グリーンが実際よりも近く(あるいは遠く)見えたり、本当にこの番手で届くのか?という不安をプレーヤーに植え付けたりする狙いもある。
設計者がプレーヤーに何を期待し、どのルートを正解とし、どのような失敗を想定しているのか。
その意図を読み解きながらプレーすると、ゴルフはもっと深く、面白くなるはずだ。
Pasatiempo Golf Club
他の例としては、Santa Cruz にある Pasatiempo の 3 番ホール。
白ティーから195ヤード、打ち上げを考慮すると実質220ヤードが必要です。
ここもホールのど真ん中に「クロスバンカー」が口を開けています。 やはりここも、レイアップ対策としての側面が強く、設計者がプレーヤーに勇気を持って打つか、リスクを背負って刻むかという二者択一を迫っていることがわかります。
いい加減に刻むと 2 打で簡単に乗せられるところを、酷い結果になるのは何度かみたことがあります。
「なぜそこにバンカーがあるのか」を考えることは、設計者との対話。
設計者がプレーヤーに何を期待し、どのルートを正解とし、どのような失敗を想定しているのか。
その意図を読み解きながらプレーすると、ゴルフはもっと深く、面白くなるはずだ。


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