原因
考えられる一つのメカニズムしては:
- 極端にバックスィングを「インサイド」に引き過ぎる
- ダウンスィングで「インサイド・アウトの軌道」になるように意識しすぎる
- スィングの最下点がボールのかなり手前になり、クラブフェースがボールにあたる頃には右手 (右肘) が伸び切ってしまう。
- よって、クラブフェースが打つ前に構えた場所よりも外側を運動し、ホーゼルがボールにあたる。
- タイミングよくシャンクしない場合は、1) どダフり、2) 右押し出し、3) トップ、4) どフック になる。
過去の発見
2008年初頭からシャンク治療を始めて、いろいろと関連エントリーを記してきました。以下、キーワード+時系列で書き出してみました。
「ヒップ・ローテーション」
- PGAツアープロのスィングを観察する - Hip Rotationが欠けていた
- シャンクを直す(治す)簡潔明瞭な方法発見
- Bionic Glovesがダウンスィングを「ヒップローテーション」で開始することを強調している
- ヒップターン矯正法が不完全な原因を発見: 頭は不動
- シャンク矯正のミッシングリンク!? - E. Els, H. Penickの教えに基づくダウンスィング
- 切り返し (transition) について修正 - the Magic Moveはマジックのように簡単にできる代物ではないかと。
- スィングの検証は正しいグリップから。。
- オープンスタンスに構える理由を理解すればピッチショットでのシャンク暴発は簡単に防げる。。。かも
- シャンクを直す(治す)ために正しいバックスィングをするためには、アドレスでアゴを上げる
- ティアップしたボールをヒールで打たないためのボールのセットの仕方 - 幾何学的アプローチ
- ドライバーの芯でボールをとらえるためのセットアップ -- 幾何学的アプローチ(2)
- ドライバーの芯でボールをとらえるためのセットアップ -- 幾何学的アプローチ(3)
- アプローチのシャンクを修正するには(1): セットアップの検証
- アプローチのシャンクを修正するには(2): バックスィングの検証
- アプローチのシャンクを修正するには(3): 前かがみにならないように構える
「バックスィング」(スィングの開始) ☆☆☆
解決方法
方針として、100発100中シャンクがでるくらい酷い症状の場合は、フルショットするのをあきらめて、チップショットやピッチショットがまともに打てるかどうかから検証するとよいかもしれません。果ては、パッティングのストロークから見直すのもよいでしょう。
結局、フルショットは、短いバックスィングで打つショット(チップ&ピッチ)を大きくバックスィングしたものです。 その「ショート・ショット」がしっかり打てるようになり、じょじょにバックスィングを大きくしていけば、フルショットになります。
実は、「バックスィング」と「セットアップ」の一部以外、上記のエントリーのほとんどはあまり意味がない発見だったかもしれません。。。
全くの見当違いではないはずなのですが、些細な事柄かと。特に「ヒップ・ローテーション」については、スィング中に体の動きを補償 (compensation, active control) しなくてはならないので、私は好きなアプローチではありません。
「右肘が右腰に戻る」などは、単なる正しいスィングの結果でしかなく、意識してコントロールする項目ではないのかもしれません。対象としているポイントが結果 (effect) なのか、原因 (cause) なのか、しっかり見極めねばなりません。多くのゴルフレッスン記事、本、TVなどのビデオtipsは、effectばかりに注目していることがあります。effectよりも、causeは何かを特定し、コントロールする方が簡単で、再現性が高いです。
また2008年8月の記事で:
ヒップローテーション (腰を切る) を速くしすぎるとスライスする説: Ben Hoganはこうしてフックを直した
というのを書きました。かいつまんで言うと、ベンホーガンがなぜ「ヒップローテーション」を強調していたのか、の自分なりの理解です。腰の回転量によって、インパクトでクラブフェースが開き易くなったり、閉じる傾向がある、ということです。スライサーがヒップを最速で回そうとすると上半身と下半身が同調せず、スライスを助長するでしょう。このエントリーは、「フェード」、「ドロー」の打ち分け方法は扱っていません。ベンホーガンがどうやってフック病に悩んだスィングを直したか、が主題です。
フェードやドローは確かに、腰の回転でも(理屈では)コントロールできるかもしれません。が、それよりも、ゴルフクラブを動かす前の、「セットアップ」の段階でコントロールした方が楽なのは明白。腰の回転はeffectよりのことですので、motor skill (運動神経) の低い私にはできません。
あと個人的に「体重はactiveに移動」させるのでなく、あくまで「passiveに移動」させた方が再現性が高いでしょう。Activeに移動した方が「飛ぶ」のかもしれません。が、ゴルフスィングは複雑な動きですし、確率のゲームです。
複雑なものを敢えて、さらに複雑にするよりも、できるだけ無意識に、自動的に、意識的にコントロールしないで、再現性の高い良いスィングができれば、コースに出たときにラクチンです。なぜなら、スィングメカニックスに労力を割く暇があったら、「ゲーム・プラン」により集中できるからです。
シャンクが起こる場合は、決まって体の幾つかの部分を意識的に動かそうとして、ぎこちない動作になったときに起こります。例えば、
- 頭をうごかさない
- 体重はバックスィングで右へ、ダウンスィングで左へ移動
- クラブはインサイドアウトにうちぬく
- インパクトで手首は返す
- トップでは、ピザ皿を持つような角度に構える
- etc..
結果から判断して、本当に効果があり、尚かつ即効性が高いのは、「スィングの始動方向の修正」でした。前提として必要なのは、正しいグリップと、正しいセットアップだけ。
治療をはじめてから数ヶ月でなんとかコースでシャンクがでないようになりました。が、どうしても、SWのコントロールショットでのシャンクがしつこく残り、スコアメイクに悪影響がありました。そこへ、「スィングの始動方向を直したら良い」とアドバイスを受け、その通りにしてみたら、不思議とシャンクが綺麗に直りました。加えて、インパクトの音もよくなり、ショットが以前よりも著しく改善されました。
シャンク修正の手順は、次のようになりました:
- グリップ
- セットアップ (ポスチャー、アライメント、ボールを置く位置)
- スィングの始動
- トップで、シャフトと飛球線が平行になる (意外とこれが打球の方向に影響し、コンパクトに振ろうとすると逆にそれがスライスの原因になることがあるので要注意。)
- スムーズな切り返し (その後は何も考えない)
練習器具
金属のベースに、丸棒を固定した試作品です。棒を固定する角度は、プレーヤーおよび使用クラブで変わってくるので、ケース・バイ・ケースで調整しないといけません。このあたりをより体系的に指定できるようにする必要がありそうです。
インサイドアウトの軌道を意識しすぎるあまりに、シャンクやそれ以外のミスが出る場合はこの練習器具は効果覿面だと思います。特に、「ラウンド中、ダフり、トップ、フック、プッシュのあらゆるミスが出てしまう」という場合にいいかもしれません。
練習器具を作ってみました: シャンク矯正に効果覿面?
From アメリカ・シリコンバレー的ゴルフ研究所 - シャンク矯正課 |
芝生から打てる場合は、ジャンクシャフトなどの棒切れを地面に差すとよいでしょう。
From アメリカ・シリコンバレー的ゴルフ研究所 - シャンク矯正課 |
付録: 参考ビデオ
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